【オット小話】 自分で設計。気を付ける事① 建てる覚悟
今までは全体の話とか、気候の話とかまあぶっちゃけ推測ばかりの他人事のような話ばかりだったので、話半分で大丈夫なんですが(おい)
今回の話は施主が決めることなので、本当大事ですよ!
設計士さんと話をする前によく考えておかないと、
「こんなはずじゃなかった!」となります。
さて、新築の家を建てるにあたって、建設予定地は皆さんどのくらい行かれましたか?
土地を購入し、図面をもらってからまだ見てないや。
そんなことではパッシブデザインは手に入りません。
断熱材をいくら分厚くしたとしても、UA値が0.2だったとしても
冬の日射取得、夏の日射遮蔽をしないと
「冬寒く夏熱い家」からは逃げられません。
後悔のないように、できるだけ知恵を絞って設計士さんと相談してください。
設計士さんが現地を見に行き、測量をしてパッシブデザインを提案してくださるのなら、何の問題もなくお任せできます。
ですが、そんな稀なケースは10%以下なんじゃないかと(勝手な推測)
なので、施主のあなたが調べることは次の通り。
■施主が建築依頼前にすべきこと
1.建設予定地の写真を東西南北から遠景、アップで撮りまくる。
2.失礼を承知で、敷地隣の家の写真をあらゆる方向から撮る。
特に窓の位置に注意しましょう。お互いのプライバシーに配慮です。
3.レーザー測距計で、隣の家の寸法を測る。重要ポイント順は次の通り。
A.敷地境界線から隣の家の外壁までの距離を記録
B.隣の庇の出、地面からの高さをできるだけ正確に測る。
(高所の測距は誤差が大きいです。三脚使用をお勧めします)
C.隣の家と段差があるようなら、その高さを記録する。
D.レーザー測距計がないならメジャーや足のサイズで測る。
何足分かでも、ある程度正確に測れます。25~30㎝×14、みたいに測ります。
E.測れない場所は、一般的な数字を当てはめる。
家の高さは土台60㎝、階の高さは3m、庇は60㎝など。
F.周囲の高い障害物を確認する。マンションなどは階数×3mでOK。
4.測量が終わったら、方眼紙などに、縮尺し、実寸大に切り抜いた隣家や道路などを
配置したり書き込んだりしていく。
※やり直しのきくパソコンでの操作が楽です。
5.またはエクセルで測定した、各所図形を配置する。
それか次のようなサイト、ソフトを利用する。
なんでもそうですが、慣れるまではちょっとかかると思います。
ですが3Dに瞬時にしてくれたり、寸法をきちんと入力出来ます。
手作業で図面を引くよりは、やり直しがきき、保存もできる分
圧倒的にお勧め。
下準備はなんでもそうですが、大変な上にやりがいがないものです。
こんな数字ばかりの図面が何の役に立つの、と思うでしょうが
「めちゃめちゃ重要です」
自分の家(予想図)のことを知っておく。
近所の雰囲気がわかっている。
場所のサイズや、何が入るか、影ができるかわかっている。
それを知らないと、設計士さんが言っていること、聞かれていることが全く理解できません。その姿、「授業がわからないからとふて寝するボンクラ学生」です。
お任せします、からの「こんなはずじゃなかった!!!」
あまりにもそんな声が多いんですよ。施主ブログ読んでると。
自分が何が欲しいのか。何がいらないのか。
自分の要望をきちんと、施工してくれる人に伝える努力が必要だと思うのです。
■施主の責任とは
私は自営業です。家を建てるにあたって
「数千万円の案件のプロジェクトリーダー」に就任したと仮定。
なお新規事業につき、経験も知識もゼロからのスタートです。
プロジェクトが「成功」すれば数十年の大きな利益が見込めるのです。
くそっ、なんて社長だ(棒)
こう強くイメージして勉強しました。めちゃめちゃハードでした。
残業? ブラック? 何のことでしょう。
案件を飛ばせば、そのツケは社長(私)がすべて払うのです。
・分からない。
・時間がない。
・お金使いたくない。
・面倒くさい。
そんな寝言に耳を傾けてはいけません。
他人の仕事ならそれでいい(おい)
でも、自分の家なんです。
施主ができることは多くありません。
・腹を決めて、建築を学ぶこと
・お金を準備し、割り振りを計算すること
・家族の合意をきちんと取りまとめること
・施工者の問いかけに対して、決断すること
勉強して、お金を出して、意見をまとめて、決断していく。
世の社長さんと同じことをしなきゃいけないのです。社長って、外車買って、飲みに行くだけの人じゃないんです。
決断はね、重いんですよ。
一度始まったら、契約しちゃったら。
いくら荷が重くても、もう逃げられません。
あなたが自分で始めたんですよね。決めたんですよね。
子どもが言う「ペット飼っていい? 面倒見るから」なんて話じゃありません。
きちんと向き合う覚悟を決めましょう。
脅かすような、説教じみた重苦しい話ですいません。
準備8割、本番2割。
丹念な下準備こそが、成功の元だって皆言ってるではありませんか。
家づくり、がんばりましょう!
■設計を始める前に気を付けること
子供の時に、「僕の理想のおうち」って落書きしませんでした?
広い庭に広い部屋。やたら長い廊下(笑)
大人になっても設計ルールを知らないと、確実にダメ出しされます。
詳しい話は、他サイトさんや専門書に任せて要点だけ。
・建築全般のルール
建蔽/容積率
街中なら80/200 田舎なら50/100など。
容積ギリギリに建てないほうが、あとで融通が利きやすい。
ガレージや物置なんかね。
北側斜線制限 道路制限
地域によって厳しいところ有り。2階が削られます。
回避するには隣家との隙間をあけるか、部屋を斜めにカットするか。
防火/準防火/法22条地域
厳しいと、窓の選択や、建材に制限が出ます。
防火の商品は全般的にかなりお値段高いです。
接道義務
シロウトが一番騙されやすいんじゃないんでしょうか。
4m以上の公道に2m以上敷地が面していること、とあります。
車に乗る、または売るかもしれない人は、接道面は6m以上あるほうが無難です。
再建築不可や旗竿地は、今後は値段が厳しくなると考えられます。
・耐震で指摘されやすいこと
家の角は90㎝分壁に
角に窓をつけると、耐震で不利ですよ。
総二階で四角
地震に強い。形が変わっていたり、複雑だと工費も高くなりますよ。
直下率
窓をつけるときは、上の階と窓の位置を揃えると地震に強くなるぞ。
スパン
広い部屋を作るときに、4コマ(3.6m)飛ぶと柱を入れさせられる可能性が高い。
吹き抜けも3コマ(2.7m)四方なら、不利になりにくいらしいですよ。
※「一条ルール」に目を通すと、結構参考になります。
SE工法
予算が合えば、ぜひ挑戦したかったです。
広い空間にピンドリフト工法。耐震もばっちり!
ただ坪単価が。そこが私には無理でした。
・断熱で意識したいこと
外周にコンセント、ガス配管を配置すると不利
断熱材が欠けるから断熱に不利だぞ。
総二階、正方形が一番有利
複雑な形は外皮面積が増えるから、断熱に不利ですよ。
軽量鉄骨
断熱では不利な建材と思われます。
C値
気密を取らないと、断熱で不利ですよ。
気密検査をしてもOK、という会社に頼むと安心できます。
目標値を下回ること、という条項を契約書に入れてもらいましょう(嫌な客)
色々書きましたが、全部律儀に守ると
「全然ワクワクしない面白みない家※byヨメ」
になるらしいので、意識するのは少しだけでいいのかな。
もちろん断熱・耐震を重視したいならガッツリ意識するといいと思います。