62話 「お任せ」と「信頼」の違い。
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いままでのあらすじ。
2019年11月。
オットが突然引っ越しだ!と宣言。
大阪ど真ん中からのんびり田舎暮らしへ。
オット両親、ヨメの4人の2世帯2軒で滋賀南部へ移住計画。
両親はひと足先に移住完了。
その近くにフィックスホームに家を建ててもらう事に。
工事も終盤に入り、完成までカウントダウンに入ってきた。
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着工日から123日。
そろそろ完成。
引っ越しも見えてきて、段ボールだらけになった家でソワソワとしています。
よく「全てお任せします。信頼しているので!」とか言って後から文句言う人っているよね。
友達でも、会社の同僚でもそう。よくいる。
信頼ってなんだろう。
私達夫婦はそれぞれが個人事業主なので、自分のミスは全て自分に跳ね返ってくる。
言い訳出来ない、人のせいにできない。そんな仕事をもう長く続けてきた。
じゃ、失敗しないためにはどうしたらいいか?
いやいや、人間は必ず失敗するんです。ドラマの女医さんみたいにカッコよくいきませんって(笑)
失敗した時のリカバリー、気持ちの持ち方、が多分違うのかな。
「お任せ」って、『何も言わなくても自分の事分かってくれるよね。
今自分がして欲しいものを完璧に提供されて当然』と信じちゃうのが「お任せ」
「信頼」って、『この人は私の言葉に向き合ってくれている』と感じる状態が「信頼」なのかなと思う。
して欲しいって、こっちが思っていることを完璧に提供してくれるかはわからないけれど、要望に向き合ってくれている、というのが重要。
一般的にはどうなのかは知らないが、私はそう思うし、そう信じて生きてきた。
そんな事を踏まえて、今回たくさんの決断とたくさんのチェックポイントがある家づくりについて、思った事を書いていきます。
去年の12月。
オットは家を建ててくれる会社を探してネットで色々調べまくり、色々な建築会社さんへ足を運び、東奔西走していた。
「高気密・高断熱」という言葉をキーワードにどうしたら居心地のいい家が建てられるのか、何をどうしたら何が変わるのか、短期間で一生懸命調べまくり、結果、建てる時にしてはいけない、とされている「自分で勝手に間取り図と要望リストガッチリ作ってきちゃった」状態。
色んなところで「これはもっとこうした方がいい(予算もっといるけどねっ)」って言われて、ションボリ帰ってくる。
その間にも色んな意見を聞き、さらに調べていくうちに「こんな家が建てたい」はさらに明確になっていく。
もう、イソップの北風さんにビュービュー吹かれている旅人のよう。
そんな中、フィックスホームさんと出会った。
設計士の戸井田さんが「これをこうしたい」をたくさん書いたオットの要望リストをひとつひとつ丁寧に理由も含めて説明して下さって、オットもヨメもとてもほっとしたのを覚えている。
それでもその間、すごい量の施主ブログを読み漁り、本当にその通りにやってもらえるのか、手抜き工事されないだろうか、不安でいっぱいになったりもした。
自分の仕事は自分できちんと把握しておかないと、結局最後に困るのは自分。
だから、フィックスホームから出してもらった間取り図や仕様書、契約書の隅々までチェックする。
あまりにものオットの細かさにヨメ、申し訳なくて、楢崎さんに、すいません…、って謝ると、
「幸せに暮らせる家を作るのが私達の仕事ですから」と言ってくれた。
契約書にハンコを押すまでの3か月間、ヨメがぶっ倒れるくらいオットはピリピリしていた。
一度ハンコ押してからは、いい意味で吹っ切れたように思う。
あとは大船に乗った気持ちでいようってオットと2人話した。
もちろんチェックすべき箇所はきちんと目を通すけどね。
インテリアを担当して下さった川尻さんは女性ならではの細やかな気配りと、スパッと竹を割ったような男前さを併せ持っていて、打合せはいつも明るく楽しく物事が決められた。
彼女が照らしてくれた太陽のような優しさで、私達旅人はやっとコートを脱げた気がする。
着工後もやっぱり心配がたくさんあった。
今まで机上でのお話だったのが、形になっていく。
それは、どこをどうチェックしたらいいのか?から始まって、
やっぱりまた、ネットで調べ、本を読み、「基礎とはなんぞや?」「大引きとはなんぞ?」をざっくり理解してから現場へ行く。
現場へ見に来て、ジロジロ見て写真撮って帰る施主ってちょっと感じ悪くない?
なので、クーラーボックスいっぱいに缶ジュースを詰めて行く事にした。
せっかく飲んでもらうのだからと、熱中症予防タブレットやお茶菓子も添えた。
それで何が変わるわけではない。
缶コーヒー、お茶菓子ひとつで何も変わらない。
ただ。
気分よく仕事してくれた家に住みたい。と思っただけ。
山口棟梁は実直で真面目な仕事をする方だ。
お茶休憩に少しお話できる事もとても良かった。
自分の家を建ててくれる人のお人柄を知る事ができる。それはすごくうれしかった。
多分オットの細かいところは、現場監督の稲田さんも棟梁も事前に楢崎さんから聞いていただろうと思う。
「めっっちゃ細かい施主さんやから気を付けたってなぁ」って言う楢崎さんが見える気がする(笑)
実際、気になった箇所は無くはない。
でも、現場の人がこれでいいと判断して作っている。
ならばそれは住んで支障がないんじゃないか。
いい家を建てる。それに向かって一生懸命な仕事をしてくれている。
だから、そこは信頼する。
でも、しっかりチェックはする。
「お任せ」にはしない。
あと数日で「完成立会い検査」
でも私達はもう知っているのだ。
私達が信頼した方々の手で作られた家は
完璧に素敵だって事を。
さぁ、あとは口開けて「はえーすっごい」を言うのが施主の最後の仕事よっ。
オットが引っ越し宣言した日、
はじまりの日より1年と6日。