家建てます!ブログ

滋賀県で高気密、高断熱の家を建てる記録。

【オット小話】賃貸と戸建てを比較する風潮について 2



前回のブログでは、こう書きました。


「労働者が減る以上、賃貸物件が減っていく」


この理由を今回は書いていこうかと思ったのですが、順番に考えを書こうとすると長くなりすぎました(笑)


さて。


先が読めない未来を考える時には、過去の出来事を参考にすると流れが見えてきます。
今回考えるべきは「労働者が減るとき」なので、反対の「労働者が増えたとき」。
この時代を参考に考えたらいいのです。


人が増えていった時代の流れを見る


「明治維新」、このイベントで東京は沸き立ちました。
1868年ですので、今から150年ほど前の話となります。
今までも、江戸には幕府が置かれていたので賑わっていましたが、やはり政治の中心は京都です。しかし、御所が移転することで名実共に東京が日本の中心となったのです。


同時に日本中の人々が東京に住み始めるようになりました。



明治に入るまでの江戸の人口は公的記録からの推測で
60万人~120万人くらいだったと思われるそうです。
これが、150年後も2020年には1400万人。驚きの10倍以上です。



日本全体ではどうでしょうか。



ざっくりした数字では


  • 1870年 3000万人
  • 1910年 5000万人
  • 1940年 7000万人
  • 1970年 10000万人
  • 2000年 12000万人

※1000万人以下の数字は適当に丸めてますので、正確ではありません。



2000~3000万人が30年ごとに増えていく時代だったようですね。
日本全体でみれば4倍です。


こういう時は建設業、というのは熱いビジネスとなります。
需要は常にあり、作ればほぼ確実に売れる状態です。
価格を多少上げて利幅をとっても、お客さんも毎年給料が上がってる時代ですから、買う側も強気です。


何人増えるのか、どこに増えるのか。わからなくても構いません。
全体が増える、ということは業界全体の切り分けるべき売り上げのパイが大きくなっていくのですから、多少作りすぎても構わない。
人だって必要ですから給料は弾むし、どんどん雇っていくでしょう。
右肩上がりの景気っていうのは、とにかく勢いがあるのです。
細かいことはどうだっていいんです。明日はきっと人(客)が増えるのですから。


景気がいい時代の、特徴

  • 多少作りすぎても問題ない。値引きすればさばける
  • 人を多く雇って、給料も高めに設定。経験が裏付けの高品質を売りにします。
  • 新規参入も多いので商品・サービスが「安くて質のいいもの」になる。




さて2000年以降は今までの逆になります。

景気が悪い時代の特徴

  • 作りすぎては問題がある。少なく作って値上げして対応する。
  • 人が来ないので、少数に絞って給与を高めにするか、多少人の質に目をつぶって安く雇うか。以前より育ちません。手抜きが「増えます」
  • 新規参入が少なく、大手が合併を繰り返し寡占・独占に。高くて質はほどほどに。



ということは新規で家や、賃貸向け物件を建てようとすると今よりも高くなるのではないかと考えられます。
どのくらいなんでしょうね。2~3割で済めば御の字。
5割増しから2倍くらいになっても驚きはしません。



1970年~2050年の新築の値段はこうなる(大胆予測)


実家に行ったときに親に聞いてみたんです。

昔建てた「某P」ホーム ※当時はNでした 
HMの単価がいくらだったかを参考価格としてオープンします。
これは1970年代の話です。

田舎のほうなので土地代、建設費も首都圏・都市圏よりは大幅に安かったはずです。


土地70坪 坪単価9万円       計 630万円
軽量鉄骨 建坪30坪 坪単価27万 計 810万円
                合計1,440万円 
当然ですが、当時は消費税はありません。

  

当時親がもらっていた給与から計算して、インフレで貨幣価値が現代の3倍相当だと仮定します。現代価格に換算するとこうなります。

土地代 坪27万円        1,890万円

家代 坪単価81万円       2,430万円

合計 4320万円+消費税432万円 =4,750万円


なんとなく見慣れた数字になってちょっとほっとします。

ハウスメーカーで建築条件付きの建売なら、やや安めだったのかもしれません。
とはいえ断熱区分4の寒い地域で、グラスウール50㎜という作りだったので冬は激寒でしたけどね!!


現在のPホームに建ててもらおうとすると 坪単価100万円から
4900万+消費税で5400万円くらいになるのでしょうか。
親、頑張ったんだなあとしみじみ思います。


ということは、この30年で大手ハウスメーカーの坪単価はインフレ込みで計算。
30坪だとこうなります。土地抜きの、建物だけの価格です。
さらに言えば、オプション抜きの、初期装備の家のイメージ。


.
1970年 80万円(消費税なし) ×30坪=2,400万
2020年 100万円(消費税10%) ×30坪=3,300万


この延長線に値段をつけるとすれば、こんな感じなのでしょうか?
2050年 125万円(消費税20%) ×30坪=4,500万



80年でほぼ倍だ! 驚きですね。


ローンは年収の何倍で組むの?


1970年から2040年まで、年収が変わらず400万円だと仮定します。
先ほどのPホームの家を購入し、ローンを組んだ場合、
いわゆる「年収のX倍までローンを組みます」、という話はこうなりますね。


1970年 頭金400万+ローン 年収400万×5倍  =計2400で年収の6倍

2020年 頭金500万+ローン 年収400万×7倍  =計3300で年収の8.25倍

2050年 頭金500万+ローン 年収400万×10倍=計4500で年収の11.25倍


昭和の親の世代が、家のローンは年収5倍が目安。
これが2020年代は年収の7~8倍が目安ですね、と言われていることから考えてもまあ妥当。
2050年は、どうなんでしょう。年収の10倍
払えなくはないのかも知れませんが、今と比べると高いなあ、という印象です。


ローコストHMの価格はどうなるの?


2000年初頭に、坪単価19.8万円を宣伝していたメーカーがありました。
2010年ごろには坪単価は25.8万円くらい?
2020年現在はおそらく29.8万円くらいでしょうか。
宣伝通りの価格で建てられたとして、どのくらい変化したかを見てみましょう。
坪単価はおそらく40坪以上を基本としていますので、30坪の場合は5万円ほど上乗せされるかと思います。
その金額で試算します。※10万以下は四捨五入します


年度 坪単価 30坪で 諸経費  消費税 消費税  総額  坪あたり

                                         15%   (%) (金額)

2000 25万    750万 110万  5%   40万  900万円 坪30万

2010 31万    930万 140万  5%   50万 1,120万円 坪37.3万

2020 35万  1050万 160万  10%     120万 1,330万円 坪44.3万



えっ!本当に?
この値段で家が建つんですか!?


嘘でないのなら、ぜひ見積もりを聞きに行きたかったものです(真顔)


その真偽はさておき、値上がりの変化部分に焦点を当ててみると?
2000年→2010年の変化 1120÷900 =1.24倍
2010年→2020年の変化 1330 ÷1120=1.19倍
消費税の変化など、読めない部分が多いです。
ざっくりした推測で、10年で2割ずつ値上がりするとザルに仮定して、計算すると


2030年 1330×1.2倍=1600万円 坪あたり53.3万

2040年 1600×1.2倍=1920万円 坪あたり64万

2050年 1920×1.2倍=2300万円 坪あたり69万


2050年の大手ハウスメーカーを坪単価125万と推測したのですから、それに比べればローコストと言えそうですね(白目)



乱暴に今までの線を伸ばしてのやっつけ推測ですので※個人の感想です、ってやつですね。
皆さんも思い思いに予想するといいかと思います。
ただ、新築に関しては「値段が安くなるよ、やったね!」ということはまずないかと思われます。
30年後は家の値段って、幾らくらいになってるんでしょうねえ。


賃貸についての考察ですが、長くなりすぎたのでまた次回に。

【オット小話】賃貸と戸建てを比較する風潮について 1

家を買うのがいいのか、賃貸で借りるのがいいのか。
ネットではよく見るテーマですよね。




前に「お金の面で得する」のはどちらか、という観点から記事を書きました。
ただ、家というのはいろんな側面があって、理解するときに議論がぶれやすいように感じます。


ぱっと思いつく論点を書いていきます。


賃貸派の重視するところ


利便性   
都会の中心にあって、仕事場やいろんな場所にアクセスしやすいか
・転居の容易さ
転勤ってなったとき、すぐに引き払えるか
・月の支払額
支払い額を収入に合わせて切り替えられるか


まだ自分が若いうち、さらに言うと仕事がどうなるかわからない時点では、今後どうなるか読めませんから、切り替えが簡単な賃貸のほうが魅力的だと思います。


持ち家・マンション派の言い分


・設備の豪華さ 
賃貸マンションと比較すると、壁が厚くなり、調度品も豪華になる傾向があるでしょう。


ほかの利点は賃貸派と同じです。
都市の中心に「手ごろな価格」で「転売しやすい」物件が手に入れやすいという点で、戸建てよりも有利ではないかと。


持ち家・戸建て派の言い分


・自由設計ができる
流行であろうが、堅実であろうが、好みでカスタマイズ
・隣家との空間がある
隣人と物理的に離れますから、物音や通行などでプライバシーを重視できる。
・駐車場や庭が持てる
マンションタイプでは庭は持てません。


カスタマイズできる分、特殊性が高くなり費用も増します。
自分好みにできる分、転売時に安くしか売れないかもしれません。


持ち家・戸建て建売派の言い分


・戸建て自由設計よりも安く
・利便性が高い場所
・設計無難なので転売しやすい


やや賃貸・マンション寄りの考えですね。



問題は、これらの意見は「今の時代の分析」で
「将来の分析ではない」ところなんですね。


30年後(2050年)を考える


日本の人口が今後どうなっていくかを考える時、「人口動態」というキーワードが重要です。


総務省発表の資料です。


2050年の国土に係る状況変化


こちらの資料によりますと
総人口 2021年7月推計12536万人 → 10192万人 ※約2割減


労働人口 2015年 7728万人 → 5275万人 ※約3割減


総人口は2300万人減り、労働人口は2400万人減ります。
高齢者は逆に3800万人となり、今よりも500万人増えます。
未来の話なので確定ではないです。
政府はこのように予想している、ということです。



高齢者は賃貸に住めるの?


2050年、今35歳の人は、65歳になります。
現在働いていれば賃貸は簡単に借りれますから、気にもしないでしょう。
しかし2021年現在の高齢者は、なかなか厳しい状況にあります。


保証人がいない。年金もそんなにない。近くに親族が住んでいない。
こうなると、民間はなかなか家を貸そうとはしません。
そこで政府が支援しているのです。


UR都市機構


保証人がなくても、定収入がなくても
「一定の貯金があれば」※ここ重要
部屋を借りやすいのです。


ただ、これも「現時点では」の話であり、将来はわかりません。


URの主戦力であるところの「団地リノベーション」は多くが1960年~1980年代に建てられています。
2050年には築年70~90年となりますが、さて、これはどうなるのでしょうか。
・再建築→コスト的に見てまずしない。
・耐震問題 今後、耐震基準が上がるときに設計の古さが問題にならないか。


民間であっても同じです。現在築年が30年を超える建物は、30年後には築60年。
その時の政府はそれを良しとするのか。今のところわかりません。


しかし一つ言えるのは「労働者が減る以上、賃貸物件が減っていく」
これは確実です。
大家は儲かるのからするのであって、赤字になるならする意味がないからですね。


今後人口が減るから、賃貸は余っていく

      ↓

だから家賃はきっと安くなるんだよ!


こういう話もありますが、たぶん短い間だけですぐに是正されてもどり、やがては前よりも高くなるかもしれない
これが私の予測です。
確たる根拠はありませんが、次回その理由を書きたいと思います。

小屋裏の温度(2回目)

前回の測定から一月ちょっと。
8月真っ盛り、小屋裏の温度を再測定しようと思います。


8月8日午前11時。天気は雲少ないなかなかの快晴。


1階の温度、26.0℃。外部空気口の気温が36.5℃。これは外壁が温まっている影響もあると思います。
外の気温はネット調べで34℃でした。




2階の温度は28.0度。一階とはやはり2~3℃ほど温度差がありますね。
2階のクーラーは「下向き、26℃設定、弱風」と軽く湿気取りを意識した設定にしてますので、1階よりはやや暑い。
しかし生活するうえで苦になるほどではありません。


外に出てみます。ここからの放射温度計の数値ですが、3℃~10度ほど高めに出ているような気がしますので、参考数値くらいで見ていただけたらと思います。


家の前の路面です。54.1℃。前回よりはまだましかな?


南面の外壁は53.6℃でした。




前回と同じく、お隣さんの家の屋根の温度。
撮影の瞬間は曇っていましたので、前回よりやや低めの56.1℃。



東面のアウターシェード。60.4度。濃い色は熱くなりますねー。



南からの光がばっちり当たるコンポストの温度。
驚きの84.7℃。卵もしっかり固まりそうです。


屋根や壁を「黒」で統一する流れがありますが、白系に比べ20~30℃ほど熱くなると考えたほうがよさそうです。


家の中に入ります。



玄関ドアの温度。30.6℃。
画像はありませんが、ドアの外の温度は56度。
直射日光が当たっていたわけでもないのに、えらく熱くなっていました。
なんでだろう。


2階階段付近の温度。32.4℃。
天井、壁などもだいたい同じ数値です。


いよいよ小屋裏に移ります。



測定温度は33.8℃。前回は小屋裏のほうが涼しい?と感じたのですが、今回はむっとした空気で、やや暖かい。
あちこち測定してみましたが似たような数値。


ということで、結論。
真夏8月の小屋裏は「2階ホール+2℃程度」


恐れていた屋根からの熱伝播は解消できている、ということで良さそうです。
2重屋根、バンザイ!!