家建てます!ブログ

滋賀県で高気密、高断熱の家を建てる記録。

【オット小話】 施主として考えたこと ⑧ 日射取得その3

さて、前回の計算で「太陽のエネルギー量」が判った!と書きましたが
あれは嘘でした。


なぜなら、あの計算式は「外の日当たりが遮られない屋根や庭」の平面の計算式であって
「家の中の、窓を通じて中に入る光のエネルギー量」ではないからです。


つまり、前回の計算で得た知識をもとに、「部屋に差し込んだ光」のエネルギー量を計算する必要があるのです。


しかし、パッシブデザインを謳うプロのホームページやブログで、こういった計算式が出ないのはなぜなのか。
シロウトにこんな面倒な事させないでくださいよ、と言いたいですね。 

なお「マニアにしか必要ないんじゃね」とかいう意見は聞こえないものとします。



気を取り直していきましょう。
家についた窓、ということで考えますと、変化する部分がたくさんあるのに気が付きます。
※以下の計算は基本小数点以下切り捨てで記述します。


1.垂直方向の変化
太陽の位置が高くなるにつれて、光は急角度で差し込むようになります。通常の窓ガラスの場合、垂直90度にガラス面がありますから、真横から光が差し込めば、窓の形そのまま100%入射します。
45度くらいなら、光は長く伸びて入りますが、60度くらいの高い位置からでは、窓際の狭い部分にしか光は当たりません。
庇の位置は設計によって違いますが、FL+3000から4/10勾配で60㎝と仮定した場合、4寸勾配は21.8度、斜辺を60とすると高さ22.3㎝、底辺(庇の出)55.7㎝(※勘違いしてました。正確には54.75cmですが、誤差の範囲とします)となります。
図にまとめましょう。


エクセルで簡単に寸法を合わせた図形です。
実寸大の図形を配置することで、イメージをつかみやすくなります。


図はFL+1100の窓、窓のサイズは縦900㎜です。
庇からの長さ1677㎜、底辺557㎜は角度70.6度。


掃き出し(縦2000㎜)で床まである場合は、
庇からの距離2777㎜、底辺557㎜の場合、角度78.4度。


真夏の南中が78度くらいと考えると、庇は最低このくらいは必要ですね。


少し話がそれましたが、光の量は角度によって変化するのか、という問題です。
図形を実際に回転させながら、光の矢印の太さを実測していきます。


窓のサイズが900の時に、角度ごとに次のように変化しました。
冬至南中を100%として、53度までは入射を遮られることはありません。
53~71度は庇の影響で急激に減少するようです。
窓のサイズによって変化はあるでしょうが、こちらの変化率をベースに計算したいと思います。


2.水平方向の変化


東から西に太陽は回っていきます。窓は東向きの場合0度以上、180度未満で光が差し込みます。その変化率は先ほど同様、図形を実測することで変化率を推測します。



途中までは似ていますが、庇がないので変化率は多少違っているのがわかります。
この測り方で正しいのでしょうか。確信が持てませんが、情報がないのでとりあえず行っちゃいましょう。あとで訂正したらいいんですよ(まて)


3.太陽エネルギーの変化 


水平線近くの太陽は、大気を多く通過するためエネルギーは弱く、南中時に一番強くなります。
前回のページ

こちらを参考にすると、次のような式でいいのでは?と思えます。


太陽定数をS、太陽高度をX、エネルギー量をsとすると
s=S×sin(X)
太陽定数=1365 W/m2
78度の場合 1365*SIN(78*PI()/180) = 1,335W/㎡
 
45度は965W/㎡
10度は237W/㎡となります。

日没時にはもう少し減衰してるように感じますが、いい感じの式を思いつかないのでこのままいきましょう。


4.窓ガラスの遮蔽性能
日射熱取得率(遮蔽係数)によって、室内に入るエネルギーが減じます。
これは窓によって固定の数字となります。ガラス面に対し斜めから光が入る場合、傾斜角がきついほど多くのガラスを通過することになるのでエネルギーが減損する気がします。
が、減衰量が判りませんのでここはスルー。
一律同じ数字が減るものとします。
APW430の場合、日射熱取得率は次の通り。


          遮蔽係数   U値
遮蔽(ブルー)   0.29-0.31  0.77-0.87
遮蔽(ニュートラル)0.45-0.47  0.75-0.86
取得(ニュートラル)0.54-0.57  1.07-1.18


※今回の試算では、窓の遮蔽は計算に含めません。


5.自宅から見た、太陽の軌跡を計算する


緯度(南北)が変われば、太陽の高さが変わります。
経度(東西)が変われば、日の出、日の入りの時間が変わります。
北海道の先端、稚内市は北緯45.3度。
南は沖縄県波照間島24度。その差は21.3度
東は根室、東経145.5度。
西は与那国島 東経123度。差は22.5度
同じ日本と言っても、環境は大きく違います。


ということで、実際の建築予定地の住所をこちらのサイトに入れてください。



グーグルマップで場所を指定、年月日を入力すると太陽の動きを高さ、方位を時間軸で表、グラフに変換してくれます。
20日前後が冬至、春秋分のはずなので、私の場合各月20日のデータ、12か月分を取り出して、エクセルにコピーして使っています。
データ量は各人でもっと細かくしたり、大雑把に四半期にしたりと変えてもいいかと思います。





このサイトは、マニアックな計算に答えてくれており、ちょっと思いついた複雑な計算は大体揃ってるのでお勧めです。
ローンの金利計算や三角関数など、家のことでしょっちゅうお世話になっています。




出そろった数字を次の式で計算していきます。
データは15分ごとの太陽の位置をもとに算出。
「5.自宅から見た、太陽の軌跡」から、
1.垂直変化量と
2.水平変化量、
3.太陽エネルギーの変化を出します。


s(エネルギー量)=太陽定数(1365W/m2)×「3.太陽エネルギーの変化」×「1.垂直変化」×「2.水平変化」


.4.窓ガラスの遮蔽は、部位によって違うので今回の計算に入れません。
次回はいよいよ計算に移りたいと思います。

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