家建てます!ブログ

滋賀県で高気密、高断熱の家を建てる記録。

【オット小話】 施主として考えたこと ⑤ 断熱の場所単価


■施工面積当たりのUA値を考える


前回は数字だらけのマニアック話になりましたが、今回はUA値の計算になりますので、もう一段誰得な話になっている気もします。
オットのうんちく、ということで興味ない人はスルー推奨です。


UA値の計算に必要なのは、断熱材の熱伝導率です。
グラスウール0.038とか書いてあるあの数字ですね。
小さいほど有利、というのはこういう計算式があるからです。


U値=W/m2K 


Wはワット。電気の1Wと同等と考えます。
m2は㎡あたり
Kは1度あたり


はい。説明したようで、何一つ説明できてません。


外が0度の冬。室温が20度の場合、差が20度あります。
ということでK=20 
今U値が0.5だとしたら0.5×20=10
これにWがついて、10W分の熱が1㎡から1時間に逃げていきますよ。
こういうイメージとなります。
逃げていく熱(電気代)だから、小さい程有利というわけですね。


U値は、場所ごとの数字。
これを平均化したものがUA値となっています。


前回サンプルに出した30坪の家の外皮面積は300㎡でしたから、300×10で3000Wの熱を生み出さないと、どんどん家の温度が下がりますよ。
UA値は、こういったことを教えてくれているるのですね。


このケースならエアコン二台(COP5)あれば電気代1時間600ワットで済みます。
電気代が1KW(1000W)で28円とすると。
1時間に17円ほど。
24時間で400円、
月に12,000円。
冬の寒い時に、このくらい光熱費がかかるな、という予想ができる優れものなのです。


U値とはこのように、どこからどのくらいのスピードで熱が逃げるかを表したものなのです。ではそのU値は、場所ごとに出していく計算なのですが、そんな難しくありません


まずは、1.熱抵抗値というものを算出します。
式は次の通りです。


グラスウール200㎜の場合 


 厚み(1m) ÷ 熱伝導率 = 熱抵抗値
     0.2   ÷  0.038  =   5.26



まず、熱抵抗値というものを出し、
2.次に1÷熱抵抗値、これで熱貫流率となるのです。
  1÷5.26=0.19W/㎡K

覚えなくても、意味が分からなくてもいいんです。
とりあえず、計算して慣れていきましょう。


壁のグラスウール200㎜の熱貫流率は1÷5.26=0.19W/㎡K
天井は 0.25÷0.038=6.58 1÷6.58=0.152


床は壁と同じ0.19


窓、玄関ドアは計算する必要はありません。
カタログに記載されているものを探しましょう。


窓は高断熱のものなら、熱貫流率が0.6~2程度です。枚数、メーカーで違います。
YKK430は0.9くらいでいいんじゃないでしょうか。カタログを参考にしましょう。
玄関も同じく熱貫流は0.7~3くらい。
D50は1.1くらい。


※重要な注意
実際には断熱されていない部分の熱橋部とか、他の素材木部や石膏ボードなども併せて計算する必要があります。
詳しい話は他サイトにお任せして、私の説明はおおざっぱに方向性を知る、というところに限って説明します。


前回のモデルケースはこんな感じでした。




今回のケースの熱貫流率を並べると、このようになります。



UA値=   0.237 
逃げる熱量計 71.1W


今回は熱橋部の計算が入っていませんので、実際のUA値は2割ほど悪化したUA値0.29、85.3Wぐらいでないかと推測されます。


自分の家の、詳しいUA値を教えて欲しい、という人は前々回の



■UA値について の他サイト様の資料をご利用ください。


データをエクセルに入力できれば、そのものズバリな数字を教えてもらえます。
私も試してみましたが、工務店さんの出した数字とほぼ同じでした。精度すごいです。



■窓と玄関はコスパ悪いのに、それでもお金をかける理由


㎡単価で考えると、天井、壁が5,000円でできるのに、窓は5万円で10倍。玄関は15万円で30倍と、コスパは最悪です。
しかし、今回の施工占有:熱量占有比を見てください。


面積占有率は全体の面積の内に、その場所が占める%を。
熱量占有率は、全体の逃げる熱の何%がそこから出ているかを表した数字です。
施工熱量比は、これは施工面積からどのくらいの勢いで熱が逃げているかを倍率で表したものです。
窓からは壁の3倍、玄関からは5倍以上の勢いで熱が逃げているのがわかるでしょうか。
(0.8:2.65、0.8:4.43で計算)


かなり高性能の窓や玄関を使って、この数字です。
さて、これ以上の断熱となると窓は5重のレガリス、㎡単価推測40万、20㎡で800万円
ドアも70万円位のものくらいしかありません。
それでも見込める性能向上は4割ほど
800万円の窓の熱貫入率0.55は、
グラスウール70mmと同等なのですから。
熱が逃げるのは、大前提と言っていいのです。



それでも、それでもなのです。
窓と玄関は、高断熱を考えるなら最優先にすべきな理由。
それは結露防止、そして快適性向上のためです。


窓際が寒い。

玄関が寒い。



まず言われる家の不満です。


トイレとお風呂は玄関と近いところに設置しがち。
階段もリビング階段でない限り、玄関わきに。

寒くて出たくないから限界まで我慢して、そそくさとトイレに行く。
冬は温かい部屋から動かない。
吹き抜けは封鎖し、階段はカーテンで閉め切る。
風呂から上がれば、寒すぎるので部屋にダッシュ。


昔ながらの寒さ対策です。
でも、もう2020年。
快適さと節電を同時に考えるのは、そんなに問題なのでしょうか?




■全館空調を考えてみよう


空調の電気代だけで考えると、30坪の家で空調費が夏3か月、冬4か月と仮定、その他の季節は夏の1/3くらいとしましょうか。
エアコンは夏場COP4.5、冬場COP3.2とします(厳寒想定)
たびたび出るCOPですが、詳しくはWIKIでもどうぞ。




電気代は1KW28円計算で、次のような電気代がシミュレーションできます。


前提条件:UA値が1.0 家の広さ100㎡ 外皮面積300㎡
50㎡の6面体としての概算シミュレーションです。
※広さと外皮面積を混同していました。修正します 20/10/18

夏 外の気温38度 中の気温26度 気温差12度 

  300㎡×12×1.0=3600W こたつ(600w)6個分の熱が外から来ます。
  3600÷4.5=800W/毎時 エアコンで排熱します。必要電気が800W。
  月576KW×3か月 16,128円×3 =48,384円 24時間×30日÷1000(KWに変換)


冬 外の気温-2度 中の気温22度 気温差20度 
  300㎡×20×1.0=6000W こたつ10個分の熱が逃げていきます。
  6000÷3.2=1875W/毎時 
  月1350KW×4か月 37,800円×4 =151,200円

それ以外 
中と外の気温差4度 
  300㎡× 4×1.0= 1200
     1200÷4.5= 267W/毎時
     月 192.2KW×5か月 5,382円×5 = 26,910円


合計226,494円/年 
月当たり平均18,874円程
という試算が出ました。この計算は、酷暑、極寒が何か月も続くという想定なので、現実よりも高めに出ているかと思います。そして温度も快適さに少し振った設定温度です。
さらに言えば日射取得も計算に入っていません。あくまでも、大雑把なイメージです。


それでもです。
月19,000円程で24時間冷暖房つけっぱなしというのは、
魅力的に思えませんか? ※修正により3倍、ちょっと高いですね。


理論上UA値が0.5であれば半額の月9,500円
0.25であればさらに半額、月4,750円


これで通年全館空調。※あくまでも理論値です。
気密がある程度しっかりとれて、24時間換気して、全館空調。
実際は予測の8掛けくらいではないかと勝手に思っています。


UA1.0で月15,000円。

UA0.5で月7,500円。

UA0.25で月3,750円。



ここまで直線的に料金が減るかは微妙ですが、断熱をしっかりするというのは、こういう環境が手に入る(かも)という事なんだと考えています。


部屋の中で直接冷気を当てる局所冷房よりも、全館冷房は体に楽。
この体感は、私も体験(※築年昭和の家でですが)したので、声を大にしたいところです。


節約も大事ですが、自分の体を考えるのは自分一人。
家族のことを考えるのもあなた一人。


健康がいくらか、を決められるのはあなただけ。
一体いくらが妥当なんでしょうね?

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